この研究会について of 日本認知心理学会 高齢者心理学研究部会

日本認知心理学会 高齢者心理学研究部会

高齢者心理学部会の設立目的と参加のお誘い
代表:権藤恭之(大阪大学人間科学研究科)
このたび日本認知心理学会において3番目の研究部会として、高齢者心理研究会の設立が承認されました.ここで、簡単に研究部会を申請するに至った背景について説明させていただきたいと思います。
本会を申請するに至った背景として、日本における高齢者への関心の高まり、産業界からの高齢者研究への期待など、時代が求めているということが最も大きなものと言えます。しかし直接的な契機は、今年2008年の4月に米国ジョージア州アトランタで開催されたCognitive Aging Conference(CAC)において本研究部会の発起人数名がたまたま顔を合わせたことにあります。日本の心理学関連の学会における認知加齢研究の発表数は、多くても10件程度だと思いますが、2年に一度開催されるCACでは,本年度は300件以上の研究発表がありました。内容に関しても、基礎研究、イメージング研究、遺伝研究、認知の介入研究まで幅広い領域の最先端の研究が報告されており、認知加齢研究領域における世界的な動向に驚かされたのであります。特に、最近の学会の特長ですが大学院生の発表が多く、欧米におけるこの研究領域の裾野の広さを感じさせられました。「世界に冠たる長寿国である日本における、認知加齢研究の遅れをなんとかしたい」という気持ちが、その場にいた私たちの思いとして共有され、本研究部会申請の原動力となりました。
本研究部会の目的は、日本において認知加齢研究を推進することにあります。
私たちは日本で認知加齢研究が進展しなかった原因は、第1に情報不足による高齢期への無関心、第2に研究を行う上での前提条件の多さにあったと考えています。第1の原因は「加齢=低下」という観念の固定化を招き、この領域の研究が魅力に乏しいと感じさせ、新たに研究を開始する動機付けとして働かなかったのでしょう。私たちは研究部会の活動を通じて、認知加齢におけるポジティブな側面をお伝えすることで高齢者研究の面白さを少しでも伝えていきたいと考えています。
第2の前提条件の多さは既に研究を行っている研究者にとっても大きな問題です。認知加齢研究では単純に若年者と高齢者の比較を行う実験場面においても課題パフォーマンスに影響を与える、IQや教育歴、時には職歴や過去の生活習慣を群間でそろえる、もしくは統計的に調整することが必要になります。認知症の有無のスクリーニングは必須ですし、今後の研究では認知症の前段階であるMild Cognitive Imperilment (MCI)のスクリーニングも必要とされるようになるでしょう。研究部会のもう一つの目的は、研究への新規参入の阻害要因でもある,こうした認知加齢研究の阻害要因を解決してゆくことです。具体的な方法は、会員の皆さんで今後話し合っていく必要がありますが、研究者間で問題を共有し,知恵を出し合うことで,この問題を解消できるのではないかと考えています。先に紹介したCACは、1986年に第1回大会が数十人の規模で始まったそうです。発表件数300は見果てぬ夢だとは思いますが、研究部会の活動を通じて認知加齢研究を扱ったものになればと考えています。
皆様の積極的なご参加を心待ちにしております.
以上

2008年6月の理事会で研究部会として,高齢者心理学部会が
下記のように設置されました.
参加をご希望の方は,下記連絡先まで,ご連絡ください.
名称:高齢者心理学部会
代表:権藤恭之(大阪大学人間科学研究科)
事務局:熊田孝恒(産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門)
発起人:三浦利章,権藤恭之,篠原一光(大阪大学),佐久間尚子(東京都老人
総合研究所),熊田孝恒,須藤智(産業技術総合研究所),原田悦子(法政大学)